未経験からコンテスト受賞チーズへ。成功の秘訣は?
2018/02/07
「循環農法」で作る、最高品質の生乳。その美味しさを100%伝えるには、6次産業化という選択がベストだった。受賞歴を多数持つチーズづくりの秘訣とは?
味わい深い希少なミルクを
20年以上も生産し続ける
甘く濃厚な味わいながら、後味はスッキリ。北海道興部町にある冨田ファームで生産しているのは、高脂肪・高タンパクを両立する全国的にも希少なミルクだ。美味しさの秘訣は、20年以上の実績がある「循環農法」。
化学肥料を一切使わず、排泄物を土に還元しながら牧草を有機栽培し、その牧草で作った発酵飼料を通年、安定的に牛に与える農法のことだ。おかげで、約80頭におよぶ搾乳牛からは、1日2tほどの高品質なミルクが生産されるという。
ミルクの美味しさの秘訣は、栄養満点の開花時期に刈り取った有機牧草で作る発酵飼料。通年、同じ餌を与えることでミルクの品質を一定に管理。
チーズ加工により
ミルクの美味しさを全国へ
そんな冨田ファームが6次産業化を始めたのは、2002年。
「ミルクの魅力を消費者の方々に届ける手段として、事業を始めました。チーズは保存性が高く、原料の特性が最も反映されます。なので、牛乳より先にチーズの製品化に着手したんです」。
そう話すのは、代表・冨田泰雄さんの娘・佳子さん。有名なチーズ職人に教えを仰ぎながら、徹底してデータを取り、微調整していったことで飛躍的にチーズの品質が向上。半年後の2003年には、オールジャパンナチュラルチーズコンテストのハード部門で優秀賞を受賞し、その2年後には同部門で金賞という快挙を成し遂げた。
2012年に農林水産省から6次産業化の認定を受け、同省の支援を受けながら加工設備を整備。現在では15種のチーズを販売し、数々の賞を獲得している。
「Japan Cheese Award 2016」金賞を受賞した「ジャパンブルーおこっぺ」を熟成中。
牧場に併設された直売所では、全種類のチーズと牛乳を販売。
レストランでは、温野菜に溶かしたチーズをかけて食べるスイスの家庭料理「ラクレット」を提供。