最高の原料で最高のチーズを作る、酪農家夫婦の挑戦
2018/02/07
「原料に勝る技術なし」をモットーに、牛が食べる牧草の重要性を考慮し、化学肥料も有機肥料も使用しない「循環農法」を実践してきた冨田ファーム。その良質なミルクをベースにしたチーズ開発へのこだわりとは。
化学肥料も有機肥料も使用しない「循環農法」で作った原料乳を用い、様々なチーズを製造する冨田ファーム。
代表の冨田康雄さんが酪農を手がけ、チーズ工房は娘の佳子さんと夫の小林さんが担当するという家族内分業スタイルでチーズの開発、販売を促進。丹精込めて作られたチーズは、これまで数々の栄誉ある賞を受賞している。
もともとは乳業メーカーで長年チーズ開発に取り組んでいたという小林さんは、「最高のミルクのおかげで、おいしいチーズができる」と話す。
「高脂肪かつ高タンパク質で、旨味と甘みが感じられるうちのミルクの魅力を、最大限、凝縮した形がチーズ。
旬の時期の牧草を刈り取って発酵貯蔵し、通年、均一な飼料を牛に与えているため、ミルクの成分、品質が一年を通して変わらないことも、チーズづくりにおいては大きな利点です。
原料を一定にすれば、技術を数値化することができる。そうすれば、高品質のものを安定的に作ることができますし、新しいことにチャレンジをすることもできます。
ゴーダならゴーダ、ラクレットならラクレット、ブルーならブルー。作るチーズによってそれに適合する成分バランスというものがあるので、足し算、引き算をしながらそこに合わせないといけない。そのためにも原料が一定であることは必須。チーズづくりは、数学なんです」
現在は10種類以上のチーズを販売し、さらに新商品の開発にも余念が無い。
安定的なミルクを生産しながら、常に新しいチャレンジを行うのが冨田ファーム流だ。
「新商品を作ることは、既存の商品の味を高めるのにも必要なことなんです。新しいものを作るというのは勉強すること。その過程において、新商品のみならず既存の商品についても、もっとこうやればいいのかというヒントが見えてきます。
だから、常に挑戦し続けることが大切だと思っています。コンテストも、出すこと自体に意味があると思っています。賞をもらえるかどうかなんて、二の次。コンテストでは、人に食べてもらい、寸評をもらうことができます。
それによって、自分では気づかないところに気づかせてもらうことがある。
そうやって、チーズがどんどん進化していけばいいと思っているんです」
DATA
有限会社富田ファーム
北海道紋別郡興部町宇津99-8
☎0158-88-2611