まずは「その6次産業化がなぜ必要か?」を考える
2018/02/06
「フレッシュかつ芳醇な香りで和食に合う」と評判のオリーブオイルの成功の秘訣は、6次産業化を見据えて行った生産から加工までの徹底した品質管理によるものだった。
ソムリエがテイスティングした
良質なオイルだけを出荷
香川県多度津町産のオリーブオイル「株式会社蒼のダイヤ」。同社は、オリーブ生産組合が自ら生産したオリーブの加工・販売を行うため、地元企業と連携し、官民ファンドのA-FIVEからの支援を受けて設立された会社だ。
「6次産業化を行うことを決めたときから、東京で売ることを見据えていた」と話すのは、共同出資する地元企業・四変テック株式会社の岡田康孝さんだ。岡田さんは、ディレクター的な立場から「株式会社蒼のダイヤ」でのオリーブの加工販売に寄与。ブランディングの根幹に関わる部分についても、忌憚なき意見を発し続けてきたという。
「パッケージやデザインが褒められる一方、それだけではもちろん売れない。外側を整えることも大切ですが、やはり品質こそ最も重要。品質管理の一環として、私を含め、コアメンバーは『オリーブオイルソムリエ協会』の講座・試験を受け、ソムリエの資格を取得しました。出荷の際は、必ずテイスティングをし、良質なものだけを出荷しています」。
搾油は24時間以内!
国際基準にならって品質管理を徹底
オリーブオイルは、湿度と光に弱いという性質を持つ。また、収穫した瞬間から酸化が進むため、できるだけ速く搾油することが求められる、特殊な作物なのだ。
「普通の人が食べたらいい香りと感じる商品でも、我々がテイスティングすると微妙に酸化臭がある。勉強をしていくと、市販品には実はそういうものが非常に多いということに気づきました。我々は、本物を届けたいという思いで品質管理を徹底。日本にはエキストラバージンオイルの規格がないので、インターナショナルオリーブ協会(IOC)という国際基準を参考にしつつ、さらに厳格な独自ルールを定めました。IOCでは72時間以内ですが、弊社では24時間以内の搾油を徹底し、保管環境にも気を配っています」。
収穫したオリーブを加工場ですぐに搾油できるのは、6次産業化だからこそ。
そうして、出来上がるフレッシュなオリーブオイルは、「OLIVE JAPANコンテスト」で金賞を受賞するなど、各地で高評価を獲得。全国から注目が集まっている。最後に、6次産業化を考えている人へのアドバイスを聞いてみた。
「6次産業化にあたって大切なのは、『その6次産業化はなぜ必要か?』という視点です。収穫から加工まで速やかに行わなければならないというオリーブの特性を考えると、我々の6次産業化は必然でした。事業全体を俯瞰して6次産業化の目的や強みを考えることが大切だと思います」。
DATA
香川県仲多度郡多度津町大字見立1856番地3
TEL:0877-89-2797