6次産業化のための8つのステップ【Part1】
2018/02/05
「商品を作ってみたい」「新しいビジネスを始めてみたい」。そんな思いはあるけれど、具体的な方法が分からない。そんな生産者さんたちのために、6次産業化に必要な流れをご紹介(Part 1)。
【STEP1】想像する
まず、6次産業化を行う目的を持つことが大切。「周りから言われたから」「お隣の農家が始めたから」という受動的な理由では、実現は困難。
最初は「こんなことをやったら面白いかも?」というレベルの発想でもいいので、自分のやりたいことをイメージできていれば、一貫性のあるプロジェクトになる。
例:「和食に合うワインがあればいいなぁ」「新しい農業の担い手を生み出す仕組みを作りたい」
【STEP2】構想する
ミッション=目的、ビジョン=目標を明らかにして、イメージをより具体化していこう。「こういうことをやれば、こんな人の役に立つのではないか」という発想から、誰のための事業なのかターゲットを明確化。ターゲットとする消費者の年齢層・性別・地域や、最終販売先の商品棚(百貨店・道の駅・スーパーなど)を具体的にイメージし、現場から逆算して構想することも重要だ。
さらに、その目的(ミッション)を果たすためには、どういう手段が必要なのか、目標(ビジョン)を立てていく。
例:「国産にこだわるワイン愛好家に、和食に合う地元産ワインを届ける(ミッション)」「官民一体で地域密着型の流通経路をつくる(ビジョン)」
【STEP3】戦略を立てる
ここでいう戦略とは、「するべきことの明確化」。例えば「こういう商品が作りたい」という目標を達成するために、生産、加工、流通、販売などの必要なフローを整理。そのうえで、「自己調達が可能か」「協力者が必要か」「設備は十分か」など状況を整理・分析し、「やるべきこと」の洗い出しを行う。
多角的な視点が必要になるため、この段階から、6次産業化プランナーなどに相談しながら進めるとより安心。また、バイヤー等と協働して商品設計することや、同じ商品棚に並ぶ類似品との差別化のポイントを整理することも重要だ。
例:「地元加工業と新たな連携をとる必要がありそうだ」
【STEP4】ビジネスモデルを考える
ここからはいよいよ「創造」の工程に入っていく。まずは、参加するプレイヤーの関係性をすべて明らかにする「ビジネス相関図」を作成しよう。生産から最終顧客に届くまでの一連のフローをすべて書き出し、それぞれの役割を明確化。
この時に留意しておくべきなのが、すべてのプレイヤーが「Win-Winの関係」になっているかどうかの確認だ。6次産業化を成功させるためには、すべての参加プレイヤーに無理のないビジネスモデルが必須となる。ビジネスマンとしての視点で適切なマーケティング分析をしながら、適正なビジネスモデルを考えていこう。
例:「生産数が少なく一般流通しにくい美味しい豚肉を一般の人に食べて欲しい」という目的で、養豚農家が6次産業化を手掛けた時のビジネスモデル。個人経営の養豚場のため生産数が少なく一般流通しづらい希少な豚肉を、直営のバーベキュー場とネットショップを立ち上げることで、消費者のもとに届けられるような仕組みを考えた。
次回【Part2】では、商品化実現から改良までのPDCAサイクルについて、具体例を交えて詳しく紹介!
監修
村上一幸
1958年生まれ。中小企業診断士(一般社団法人農業経営支援センター所属)。農業経営上級アドバイザー、食の6次産業化プロデューサー(レベル5)、食農連携コーディネーター(FACO)、GAP指導員など。
『ロクジカチャネル』vol.19より転載