農家必見! 展示会でバイヤーが「つい買いたくなる」ブースの作り方
2018/12/17
農業関連展示会では、ブースの作り方によって商談成立率が格段に上がることがある。成功のコツは「AIDMAの法則」や「VMD(視覚的販売戦略)」だ。今回は、インストラクターとして多くの成功事例を持つ6次化プランナーに、ブースを魅力的に演出するヒントを伺った。
全国の6次産業化に取り組む農林漁業者の方々の相談に応じてアドバイスを行うために登録されている専門家のことです。プランナーを派遣するサポートセンターは全国に設置されています。詳しくは農林水産省のHPまで。
今回教えてくれたプランナー
林 由希恵氏
中央サポートセンター公認6次産業化プランナー、(有)千代田代表取締役。調理師、フードコーディネーター。得意分野はVMD(視覚的販売戦略)。「いかに商品を魅せるか」の売場づくり、ブース展示のノウハウをきめ細やかにサポート。
Q1. 展示会で人の心を掴む
ブースの作り方は?
A. AIDMAの法則とVMD(視覚的販売戦略)を知ろう!
商談に至るまでの購買心理の基本プロセスが、下の図「AIDMAの法則」です。
この法則を意識しながら、FCPシートの内容を実物を用いて表現する場が展示会です。生産者の多くが、その魅せ方に苦労されています。よくある失敗例は、ただ商品を並べただけ、見せたい物がたくさんありすぎて何を本当に伝えたいのかわからない、ブランドイメージが不明確など。これではバイヤーの心を掴むことはできません。展示会のブース作りでは、VMDが重要です。VMDは、コンセプトやブランドイメージを視覚的に表現→おすすめ商品、主力商品で導線を作る→より多くのバイヤーからの「視認性」を高める→立ち寄り率を高める→商談チャンスを作る、という効果を生み出します。
Q2. どうやってバイヤーさんに
足を止めてもらう?
A. ブースを演出して「視覚」に訴える!
バイヤーが思わず足を止めてしまうブース、それは人間の五感のうち約87%を占めるといわれる「視覚」に訴求したブースです。
VMDの重要な構成要素の1つがVP(ヴィジュアルプレゼンテーション)ですが、VPはお店の顔になる部分。ブースで一番目立つところに据える看板です。VPで「あそこに何かあるぞ」という存在を認識させたら、次に色、形、文字、材質をバイヤー目線で展示・陳列します。
特に、色・POPでのアピールは重要です。色は人の感情に直接訴求するパワーがあり、横に商品を並べるなら、心理学の法則「Zの視線」に基づいて、明るい色「赤」を一番左に置き、オレンジ→黄色→緑→青→一番右に暗い色「紫」を置くのが基本です。POPにおいては、商品の魅力を一言で伝えるのにみなさんが大変苦労していますが、コツは「一目でわかる」「一言で伝える」。インパクトのあるフレーズが必須です。
Q3. どうやってバイヤーさんを
買う気にさせる?
A. 食べ方・使い方を具体的に提案して「感情」に訴える!
VPで存在を「認知」してもらったら、AIDMAの法則では次に「感情」に訴えかけていきます。もっとも効果的なのが、使うシーンを想像できる演出をすることです。商品を使うときの環境を具体的にイメージさせ、食べ方とレシピ提案まで行うといいでしょう。食べる人・使う人の気持ちを先回りしたものや想像が膨らむもの。あるいは、人手不足の飲食の現場で新人でもすぐ作れます、といった提案型のアピールも重要です。
Q4. 試食は積極的に
やったほうが効果的?
A. 「素材」を見せたうえで試食を提供しよう!
色、POPなど、VMDのテクニックを使って購買意欲を喚起したら、最後の決め手となるのが試食です。試食に至るまでの一連の流れの中で、「この生産者と一緒に仕事してみたい」という信頼を得られた結果が「試食」です。信頼感を得やすい効果的なディスプレイは、「素材」をしっかり見せること。柚子ジャムなら柚子を。手に触れてもらえれば、瑞々しさや香りまで伝えられます。素材がバイヤーとの会話の糸口となれば、商談へと発展する可能性が高まります。
ロクジカチャネル vol.23(2018年秋号)より転載